マウスが変えたコンピュータ史 エンゲルバートからMacへ

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 コンピュータがまだ巨大な計算機だった時代、アメリカの研究者ダグラス・エンゲルバート(Douglas Engelbart)は、コンピュータをまったく別の視点から見ていた。彼はコンピュータを「人間の知能を拡張する道具」として考えていたのである。その研究の中で生まれた装置が、後に「マウス」と呼ばれることになる。
 1968年、エンゲルバートは歴史的なデモンストレーションを行い、マウスを使って画面上の情報を操作してみせた。そこには、ハイパーテキスト、ウィンドウ、共同編集など、現代のコンピュータの基本的な概念がすでに含まれていた。
 しかし、この革命的な研究はすぐには世界に広がらなかった。
 その後、カリフォルニアのゼロックス・パロアルト研究所(Xerox PARC)で研究が発展し、さらに1980年代にはAppleがパーソナルコンピュータの世界にマウスを持ち込むことで、ようやく一般の人々の机の上に広がっていくことになる。
 今日、マウスはありふれた装置のように見える。しかしその背後には、人とコンピュータの関係を変えようとした研究者たちの情熱と長い試行錯誤の歴史がある。
 本書では、マウスという小さな装置の誕生から現在までの歩みをたどりながら、コンピュータの歴史と、人間と機械の関係の変化を見つめていく。
【目次】
はじめに~小さな装置の大きな物語
第1章 コンピュータに触れられなかった時代たち
第2章 エンゲルバートの夢 ~人間の知能を拡張する機械
第3章 NLS誕生 ~未来のコンピュータを作ろうとした研究者たち
第4章 1968年 伝説のデモ ~Mother of All Demos
第5章 忘れられた革命 〜なぜ世界はすぐに変わらなかったのか
第6章 Xerox PARC ~未来を発明した研究所
第7章 Appleの衝撃 ~研究所の技術を大衆へ
第8章 マウス革命 ~GUIが世界を変えた
第9章 マウスの進化 〜この手で感じたマウスのパワー
第10章 エンゲルバートの晩年 〜評価されなかった天才
第11章 マウスは消えるのか 〜新しいインターフェースの時代
第12章 エンゲルバートのプロトタイプマウスを再現 どのような使い勝手かを調べてみた
第13章 マウスという存在の再定義

About the author

松田 純一(まつだ じゅんいち)
Macテクノロジー研究所 主宰。
黎明期よりApple製品に関わり、Apple IIからMacintoshに至るまでの変遷を実体験として持つ。Appleのデベロッパー時代、1999年WWDC(世界開発者会議)において我が国初のApple Design Award / Best Apple Technology Adopttion(最優秀技術賞)受賞。現在は技術史・デジタル文化に関する執筆活動を行う。著書に『Macintosh思い出のソフトウェア図鑑』(インプレス NextPublishing刊)ほかがある

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