アミターバ: 無量光明

· ケイオス出版
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死の瞬間、私たちは、何を見るのか?

現役僧侶の芥川賞作家が死のプロセスを圧倒的なリアリティで描き、作家・批評家から絶賛された「究極の物語」。久しく品切れだったものに加筆・修正を行ない、あとがきを加えた復刻版。

死の瞬間、私たちは何を見るのか。魂はあるのか。それはどこへ行くのか。がんを患った女性の「死のプロセス」を、禅僧の芥川賞作家が臨死体験記録や宗教体験をもとに迫真のリアリティで描いた。

――娘夫婦の住む東北に移り住んだ「私」は、80歳を前にして難治のがんに侵される。死後、魂はどうなるのか。天国や地獄はあるのか。娘の夫で僧侶の慈雲さんに尋ねると、仏教のお経の話とともに最先端の物理学の話までしてくれる。

「アミターバ。つまり無量の光。あるいはアミターユス。無量の命。要するに阿弥陀さんですよ。いいですかお母さん、極楽浄土ってのは、なにか私らには計り知れない存在の意志や思いが実現してる場所らしいんですよ。それを疑わないことです」

家族と最期の時を過ごし、徐々に自分の死を受け入れ、思い出の時間と場所を意識が往来するうち、今ここの現実と思い出の境界、それらを一つにまとめあげる時間の感覚も次第に薄れていく。そして光に満たされる圧倒的な体験とともに「私」が見たものとは?

近親者の死を見送った方々をはじめ多くの共感を得、作家・批評家に絶賛された「死という出来事」を追体験する小説。

「今回、久しぶりに読み直しながら、私は末期の時空を追体験していた。そして『時間という煩悩から解放された状況』が、あらためてなかなか佳く書けていると思えたのである。
私は今でもこのようなことが末期には起こるような気がしている。いつ『意識の混濁』を体験してもおかしくない……、いや、やがて死ぬすべての人々に、『アミターバ』を読んでほしいと思う」
(復刻版のための「あとがき」より)

About the author

●著者紹介
玄侑宗久(げんゆう そうきゅう)
1956年、福島県三春町生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。さまざまな仕事を体験後、京都天龍寺専門道場に入門。現在は臨済宗妙心寺派福聚寺住職。2001年『中陰の花』で芥川賞受賞。2014年、震災に見舞われた人びとの姿と心情を描いた『光の山』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2007年、柳澤桂子氏との往復書簡「般若心経 いのちの対話」で文藝春秋読者賞、2012年仏教伝道文化賞、第一回沼田奨励賞受賞。京都・花園大学文学部仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部の客員教授。元東日本大震災復興構想会議委員、原発事故後の福島県内の子ども・若者を支援する「たまきはる福島基金」理事長。『禅的生活』『現代語訳般若心経』『まわりみち極楽論』『慈悲をめぐる心象スケッチ』『観音力』『荘子と遊ぶ』『水の舳先』『リーラ 神の庭の遊戯』『龍の棲む家』『アブラクサスの祭』『阿修羅』『四雁川流景』『竹林精舎』など著書多数。

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