ケルゼン学説の批判昭和十年出版
美濃部達吉
凡例
一、本書は昭和十年出版の「ケルゼン学説」を復刻するものである。
二、本書の原本として、日本評論社、昭和十年出版を用いた。
三、復刻するにあたって段落は原本と同じくした。(尚、一つの段落に入らない文章は次段落の中段から記す。
三、漢字はできるだけ新字体で記す。
ケルゼン教授の法及び国家理論の批判
緖言
第一節 所謂純粹法学の誤謬
一 法の本質はSollenではなくSeinであること
二 法の成立する根拠は何に在るか
第二節 法律学に於ける国家概念
一 国家の団体的性質の否定と其の批評
二 国家の権力の否定と其の批評
一 法律学上に於ける意思の観念は果して心理上の意思と無関係であるや
二 実在の現象としての国家は意思の主体であるや否や
三 国家は法を作るものであるや
三 国家双面説の否定と其の批評
四 国家自律説の否定と其の批評
法律は当為なりや存在なりや(横田敎授に答ふ)
一 ケルゼンは法律の本質を如何に解して居るか
二 法律は単純な観念上の存在ではない
三 法は社会力であつて社会上に実在する
四 法の実在性を否定する結果
五 法は因果関係に支配せられる
六 法は社会心理的の存在である
七 法は其の内容に於ても必ずしも当為のみではない
国法国際法一元説を駁す
第一節 序論
第二節 第二節 フェルドロッスの国際法優位説
第三節 ケルゼンの国法国際法一元説