チェコヴィッチの回想録: グルジェフ氏の思い出

· 郷 尚文
Ebook
350
Pages

About this ebook

1921年の出会いより、コンスタンチノープルからフランス、アメリカに至るまでグルジェフと行動を共にし、28年にわたり親密なかかわりを維持したロシアの元青年士官で、レスリングのチャンピオン、サーカスの力士などの経歴をもち、グルジェフの学院での共同生活とムーヴメンツのアメリカ公演への参加を経て、パリのモンマルトルの丘のふもとでパン工房を営むに至ったチェスラヴ・チェコヴィッチが真情をもってふりかえるグルジェフの思い出。

本書の元となる原稿はチェコヴィッチが1958年になくなった後に行方不明になっていたが、30年あまりを経て、彼が夏ごとに訪れていたフォルメンテラ島の知人宅で発見され、2003年にフランス語版が発表された。それとは別に発行された英語版は、かなりの部分が削除されたほか、一部の記述が改められている。この日本語版はフランス語版に基づくが、もともとはランダムだったストーリーの順番を整理し直している。


単行本換算:約350ページ


まえがき


Ⅰ コンスタンチノープルにて

最初の出会い

祖国を離れたロシア人たちの間で

グルジェフ氏の医術 アレクシス・クームの難病

冷水を浴びる

記憶術の伝授

現実に目覚める

グルジェフ氏らのロシア脱出とフィリポヴィッチの物語

小さなアメリカ発見

プリンキポ島でのやりとり

戦争における目覚めた人のふるまい

法則の序列

不死性に関する理論


Ⅱ ヨーロッパへ

彼のもとへの危険な旅

芸術の値打ち

アレクサンドル・Rの不思議な回復


Ⅲ フランスの学院にて

インテリたちのおせっかい

プリオーレでの日々 共同作業とエクササイズ

クリスマスツリー

キャサリン・マンスフィールドの思い出

キャサリン・マンスフィールドの再訪

アレクサンドル・ド・ザルツマンと絵描きの技

軽業の披露

ムーヴメンツの公開とジャーナリストの訪問

お馬鹿のエクササイズ

人間にふさわしい働き

不可解な仕打ち

エリートの条件

岩を割る技

蒸し風呂の秘密

電気式医療機器

同一化の力

「ストップ!」

動物たちと自然の理

休息と祝祭

(一)ピクニックと「馬鹿への乾杯」

(二)クリスマス

(三)新年とグルジェフ氏の誕生日

(四)蒸し風呂の楽しみ

いったいどんな権限があって?

ムーヴメンツのにわか教師

偉大な人の昏睡とそこからの目覚め


Ⅳ 公正な人の試練

見事な懲らしめ

見事な許し

公正な人に対する隣人たちのふるまい


Ⅴ パリのアパルトマンにて

助けられる資格

戦争における人間のふるまい

腹痛の妙薬

グルジェフ氏の日課

グルジェフ氏の余計な労働

パリで聞いたモスクワでの話

最後の乾杯


Ⅵ 四人の女たち

グルジェフ氏の妹 ソフィア

グルジェフ氏の妻 ユリア・オシポヴナ

グルジェフ氏の母 バブーシュカ

ジャンヌ・ド・ザルツマン


Ⅶ 私自身に関すること

私の生涯と夢

ある夢のこと

死を越える絆


Ⅷ EN ROUTE 道なかば

 

About the author

チェスラヴ・チェコヴィッチ(Tcheslaw Tchechovitch、スペルに複数のバリエーションあり、1900~1958)は、1921年にグルジェフに出会って以来、コンスタンチノープルからフランスに至るまで行動を共にし、28年間にわたってグルジェフとの直接的な関わり合いを維持した。チェコヴィッチはポーランド(当時ロシア)に生まれ、若いころから肉体を鍛えることに熱中し、高校時代にはレスリングのチャンピオンになる。グルジェフと出会ってからは、さらに頭の力を鍛えることを求めた。少年時代から野外での冒険を好み、釣りの名人であった。川遊びであやうく命を失いかけるような危ない目に何度かあった後、霊視を伴う絆で母と結ばれるようになり、白軍の士官として従軍中、母からの霊的な介入によって一度ならず命を救われる。グルジェフはこれらのエピソードを笑わず、真剣な関心を向けたと伝えられる。1920年にコンスタンチノープルで軍隊から離脱した後、同地でP・D・ウスペンスキーの講義に通うようになり、翌年にグルジェフと知り合い、彼のもとに寄宿する。ベルリンを経てフランスまでグルジェフと行動を共にし、グルジェフがフォンテーヌブローに設立した学院での共同生活に加わり、1924年のアメリカへのムーヴメンツ公演旅行に同行している。その後、パリのモンマルトルの丘の麓にパン工房を経営する。グルジェフは1949年に世を去るが、最後までグルジェフとの関係を保った。チェコヴィッチは夢によって未来を予見することがよくあり、1958年のみずからの死も予見していたようである。みずからが主導する小さなグループの人たちに、グルジェフとの関係におけるみずからの生涯の思い出を語っていた。それを書き留めた原稿は、長く行方不明になっていたが、死後30年あまりを経て発見され、かつての彼を知るフランス人の元グループメンバーらにより、チェコヴィッチの回想録として公開されるに至った。

東京外国語大学卒業。翻訳家。1988年に『ベルゼバブが孫に語った物語』の翻訳を開始し、以後、グルジェフに発する伝達の流れにくみする複数のグループおよび個人と接触をもつ。1989年にOsho Commune International(インド・プネー)を訪れ、以後、グルジェフに由来する舞踏・体操・エクササイズを集めたものである「グルジェフ・ムーヴメンツ」をめぐる同コミューンでのプログラムに関与。1997年よりムーヴメンツを中心とするプログラムを、日本、インド、ロシア、フランス、トルコで主導。訳書にグルジェフ全集ほか、著著に『覚醒の舞踏 グルジェフ・ムーヴメンツ』およびグルジェフ総論シリーズ。

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