新太郎浅田
3人称視点のキツネは操作しにくく、フィールドは地形が把握しにくく、何をするべきかも分かりにくい。 にもかかわらず、忘れがたい印象を残す良作だと思います。どことなく「風ノ旅ビト」を思い起こさせます。 キツネを操作して光る星を集めていく間、一人の男性の半生が(ほぼ)モノローグで語られていきます。大きな喪失の物語…その私的で詩的な語りと、広大な自然の中をさ迷うキツネの旅路の物語が、いつしか重なっていきます。 最初は、シンプルすぎない? と思っていたフィールドのデザインは、場所が変わるごとに、様々に豊かなイメージで彩られた顔を見せていき、驚きと満足を与えてくれます。 最終章では、ひとつの救い(再生?)が示されますが、それは言葉ではっきりと語られるわけではありません。どう解釈するのかは、プレイヤーに任されているのだと思います。 上質な短編あるいは中編小説を読んだときのような気持ちになりました。 ちなみに、語りのモノローグは日本語字幕で表示されますが、日本語音声の方が良かったかも。読むことに気を取られて、ゲームに集中できないことがありました。 アート系の映画が好きな人とかにはおすすめかも。
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