夢野久作の同名小説を「伊藤の話」の秋原正俊が映画化した
サスペンス・ミステリー。
出演は「白椿」の畑野ひろ子、「ぐるりのこと。」の温水洋一、
「純喫茶磯辺」の斉藤洋介、「銀河鉄道の夜 I carry a ticket of eternity」の松田洋治、
「伊藤の話」の今村祈履、「ひゃくはち」の有末麻祐子、
「バカバカンス」のマギー司郎など。
ある朝、呉服橋劇場の興行主が刺殺体で発見される。
遺産を相続したのは彼の一人娘、"世紀の邪妖劇女優"天川呉羽(畑野ひろ子)。
マスコミは一斉に謎の殺人事件と報道。
ところが、殺人現場は閑散としており、
事件について語る自称敏腕刑事の猪村(綾田俊樹)と
新米刑事の文月(江口のりこ)がいるだけであった。
見解を述べる文月に、猪村は事件の犯人が自主したことを告げる。
現場が閑散としている理由を知り、言葉を失う文月。
しかし彼女は、どこかに真犯人がいるのではないかという思いを捨て切れなかった。
その頃、呉羽は劇場楽屋裏で支配人の笠(斉藤洋介)と向き合っていた。
笠は呉羽が興行主の殺人に関わっていると踏み、
黙っている代わりに結婚をしてくれと提案する。
呉羽は承諾するが、最後に1日だけ二人芝居を上演したいと告げる。
笠は頷き、しばしの旅に出た。
呉羽は、屋敷の離れの脚本家・江馬(温水洋一)を訪ね、秘密を打ち明ける。
笠に殺人の罪を着せられ、脅されていること、また真犯人は笠であること...。
江馬は美しい呉羽に惹かれ、呉羽への愛と笠への憤りを感じるのだった。
しかし、陰で話を聞いていた江馬の妹・美鳥(有末麻祐子)は、
呉羽の話を信用してはいけないと江馬に釘を刺す。
その後、江馬は台本を書き上げ、呉羽は俳優の寺本(松田洋治)と共に稽古に入った。
公演当日。満員の観客席には、江馬、美鳥、笠、そして文月刑事が座っている。
そして舞台では、その誰もが予想だにしなかった、
ある途轍もない芝居が行なわれようとしていた......。