フィレンツェの工房で絵画の修復士を目指す順正は、順調な生活とは裏腹に、いつも心に虚しさを抱えていた。それは学生時代を共に過ごし、運命の女性だと思えたあおいの存在だ。留学生だった彼女は10年前に順正と別れて香港に戻っていたが、順正は今もなおあおいのことを思い続けていた。ある日、順正はあおいがミラノにいることを知るが、彼女は実業家の恋人と裕福な生活を送っていた。現実に打ちひしがれる順正にとって最後の希望は、かつてあおいと交わした“30歳の誕生日にフィレンツェの大聖堂で待ち合わせる”という約束だった…。
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