日本を大きく激変させた明治維新。主筋である徳島藩との内乱(庚午事変)の末、死傷者まで出した淡路・稲田家は明治政府に北海道移住を命ぜられ、主従546人は豊穣温暖な四国の美しい島から荒涼とした凍てつく北の原野に辿り着く。自らと仲間の苦境を打開すべく、妻・志乃と娘・多恵を残し小松原英明は農業技術導入のため札幌へと赴くが行方知れずとなる。英明を探す旅に出た志乃は猛吹雪に遭遇したが、アメリカ人牧場主エドウィンによって救助され、それが縁で新天地における牧場経営に活路を見出す。明日への希望を失うことなく開民の人々が農地再建に着手したそのとき、志乃の前に一人の男が現れた・・・