影なき恐怖

1956年
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この映画について

朗らかなアメリカ娘の典型をR・ハドソン共演のコメディなどで演じる一方で、ドリス・デイはこんなスリラーを幾つか残している。ヒッチコックの「知りすぎていた男」の成功があったせいだが、正にあの逸品の翌年に撮られたこのMGM作品は、彼女の恐怖演技をこれでもかと盛り込んだ、単純な二番煎じ。デイの演じる平凡な主婦(正にその平凡さが似合うゆえに、恐怖におののく様がリアルで、この路線も人気が出たのだが)は前夫の想い出を断ち切れずにいたが、新たな恋人(ルイ・ジュールダン)の熱烈な求愛を受け再婚する。しかし彼は、死んだ前夫の写真にすら嫉妬し、彼女の行く先々につきまとう異常者。たまらず行方をくらまし、やがてスチュワーデスとして働き始める彼女だったが、ある日、乗客の中に夫を見つけ戦慄を覚えるのだった......。手堅く演出された前半に比べ、後半はメタメタで笑ってしまうほど。まるでパニック映画になってしまうのだ。