主人公ぺぺはひたすら走っていた。照りつける熱い陽射しの中を、南スペインの乾いた道を。 “ブエルタ・ア・エスパーニャ”。“ツール・ド・フランス”と並ぶ「世界三大自転車レース」の一つ。勝利に恵まれず、レースの真っ只中、解雇を言い渡される。やがて生まれ育ったアンダルシアの村にさしかかる。そこでは、兄アンヘルと、かつての恋人カルメンの結婚式が行われていた。幼い頃、兄と取り合った1台の自転車。そして奪い合った恋人…忘れたい恋、忘れたい戦い、忘れたい土地から、遠くへ行きたい。ゴールへ近づくぺぺの心に様々な思いがよぎる。突然、ネグロという黒いネコが道に飛び出した。予想を裏切り、レースは思わぬ方向へ進んだ。果たしてぺぺに輝きの瞬間は訪れるのだろうか。(C)2003「茄子 アンダルシアの夏」製作委員会