B級映画の帝王R・コーマンが、「レッド・バロン」(71)以来、実に約20年ぶりにメガホンを取ったSFホラー。2031年、ニュー・ロスアンゼルスで次世代兵器の開発を行う科学者ブキャナン(J・ハート)。だが、その実験によって時空に歪みが生じ、ブキャナンはコンピュータ搭載のスーパーカーと共に19世紀のスイスへ飛ばされてしまう。そこで彼は"歴史上有名な"フランケンシュタイン博士(R・ジュリア)と出会い、彼が創造した人造人間とも遭遇する......。『フランケンシュタイン』の作者であるメアリー・シェリー(B・フォンダ)も登場する、虚実ないまぜのストーリー展開は面白く、モンスターを生み出してしまった二人の科学者が300年の時を越えて対峙する運命を幻想的に描いている。中盤から後半にかけて消化不良の感はあるものの、コーマン作品の"色"であった、SF・恐怖・古城・残酷・幻覚・モンスター・近未来などの様々な要素が織り込まれている様は、"映画監督ロジャー・コーマン"の復帰に相応しい内容である。