南部ニューオリンズの町で伝統と格式を誇りながら零落の一途をたどる名門ホテルを舞台に、建て直すべく雇われた支配人(R・テイラー)を中心に、オーナー(M・ダグラス)との確執や、そこに集う様々な人々のエピソードをつづる、いわゆる"グランドホテル形式"の作品。A・ヘイリーの大部の原作を手際よくまとめた脚本が優れ、R・クワインの演出もきめ細やか。ダグラスの重厚な存在感にテイラーがよく拮抗している(恐らくは彼のベスト・アクトだろう)。カーメン・マクレイ(出演もしている)のしっとりしたバラードの主題歌も似つかわしい、落ち着いたムードが味わえる大人の映画だ。