女と男のいる舗道

2013年 • 85分
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この映画について

この映画のルイズ・ブルックスを思わせる断髪のA・カリーナは本当に魅力的だ。ゴダールが彼女を撮る姿勢に愛情が満ち溢れているからか。実生活でも蜜月の季節を送っていた二人だ。カリーナ演ずる、ゾラの有名な小説の主人公と同じ名を持った女ナナは、娼婦がレビュー女優に成り上がるゾラのヒロインとは逆に、娼婦に零落する女優志願の娘。若くして結婚し、子供をもうけたが離婚して家を出た。安月給のレコード店員では生活が持たず、つい男に誘われ、体を許した代償として金を受け取ってしまう。そのうちポン引きのラウールと出会い、彼に好意を持った彼女は完全な娼婦に仕込まれる。だが、かりそめの愛も春を売る暮らしにやがて冷えきり、彼女は無感動に日々を費やす......。全編を12の章立てにし、ゴダールは物語的興趣を例の如く分断するが、それでも映画館で「裁かるゝジャンヌ」を見て涙する場面、カフェで偶然隣合わせた老哲学者と語り合うくだりなど実にエモーショナルだ。