いぬ

1964年 • 109分
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この映画について

暗黒映画の巨匠メルヴィルの最も大胆な映画的実験の見られる映画で、多少ストーリーの追い難さはあるが、ラストに至って、ヌーベルバーグ作家顔負けの瑞々しい感性をぶちまけられ、観客はひたすらうろたえる他ない(それは又、彼の出世作「恐るべき子供たち」の終幕に余りに似通い、自己パロディをしているのではないかと思う程だ)。"いぬ"とは即ち、警察への密告者を指し、警察に洩れた金庫破りの計画を持ち掛けられた主役のベルモンドが果して"いぬ"なのか、そうでないのか、が映画全体を貫く謎である。ギャング仲間達が彼を巡り葛藤する様がすこぶる面白く、ベルモンドの超然として冷めたムードが尚更映画を謎めかす。フィルム・ノワールの一歩先を行く傑作だ。