いずれくる死にそなえない

名郷直樹

des. 2021 · 生活の医療

Um þessa rafbók

本書は、普段の診察で人と生を相手にする医師が、誰にでも訪れる死を始点に定め、医学と自身の臨床を見つめ直す「自省録」だ。

――どこまでも健康、どこまでも長寿を重視するのは無力というより不可能である。ある時期に限って実現できるに過ぎない。どこまでもというのは不可能だ。死を避けることはできない。死を避けるのは不可能だが、避けなければ少なくとも無力ではない。死んでいく中で、何かできることがあるはずだ。自分自身の無力感も、人が死んでしまうから無力なのではなく、死ぬことを避けようとするから無力なのである。［本文より］

Um höfundinn

●著者紹介
名郷直樹（なごう なおき）
1961年、愛知県に生まれる。自治医科大学卒業。愛知県作手村国民健康保険診療所に12年間勤務。へき地医療や研修医教育を中心に活動し、2011年6月に西国分寺でクリニックを開業。地域家庭医療に従事し、20年以上にわたりEBM（エビデンスに基づく医療）を実践する。著書に『EBM実践ワークブック―よりよい治療をめざして』（南江堂）、『気負わず毎日使えるEBM超実践法』（金原出版）『「健康第一」は間違っている』（筑摩選書）、『65歳からは検診・薬をやめるに限る！』（さくら舎）など。