茶の湯のしつらいは誰もが美しく感じる独特の世界があり、床の間の飾りや点前座の道具組みを見ると胸のときめきを覚えます。
江戸時代は全ての部屋が和室なので裕福な商家は茶道具を揃えて、気軽に茶の湯のおもてなしをしていました。日常の生活で美しい茶の湯の世界があることはとても贅沢な感じがします。
でも茶の湯は和室がなければ成立しない美なのでしょうか?
和服を着てお点前をする姿や茶室の美しさもありますが『床飾り』『点前座の道具組み』のしつらいは茶の湯空間の美の『主役』として、インテリアの美しさを作り出すとても大切な役割をしています。
この『床飾り』『点前座の道具組み』はある程度ルールが定められています。そこで、その形をリビングやダイニングに飾ってみましょう。そこには茶の湯の雰囲気のある美しいインテリアを作ることが出来ます。
茶室を作らなくても美しい『茶の湯の世界』は作れるのです。その方法を説いたのが、この『茶の湯インテリア術』です。
『床飾り』『点前座の茶道具組み』は季節毎の美しさを取り入れ、新しい気の流れを作ることが出来ます。
これは日本独自の美意識で、インテリアは季節により変化させた方が居心地がよくなり、人の気を浄化します。それは、新しい気は淀んだ気を排除して人々の気をリフレッシュして活力を与えることが出来るからです。
この『床飾り』『点前座の道具組み』を、ご自宅のリビング ダイニングや畳ルームに取り入れた茶の湯のある生活は、少しだけ茶道具を揃えれば簡単にできます。茶道具は見立てた物から始めても良いのです。茶筅は必要ですが、他の物は茶碗はマグカップ、茶入れは蓋のある容器や湯飲み茶碗、お軸は短冊や額に入れた写真など、自由に見立てて取り合わせ出来ます。
その道具の見立てが綺麗ならば、リビング ダイニングに飾ると不思議なほどインテリアが美しく見えてきます。これが数百年の歴史が作った茶の湯のインテリア作りの魅力です。
みなさんのお宅は洋風やモダンインテリアが主流で「我が家に茶の湯インテリアを作っても素敵になるの?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。どんな部屋でも茶の湯インテリアは美しくすることが出来ます。
インテリア作りの奥義は『部屋に綺麗な所を作る』ことです。そこを『床飾り』『点前座の道具組み』で作ることで、インテリアは見違えるように素敵になります。インテリア作りの基本は『スピーディーインテリア術』で詳しく解説していますので、ここでは割愛させて頂き、茶の湯インテリアのみの解説をします。
■茶の湯のおもてなしと豊かな日常生活
突然の来客でも気軽に茶の湯のおもてなしが出来て、花と道具組みで季節感を演出した美しいインテリアが何時でも出来ているのが茶の湯インテリアの魅力です。
「堅苦しい茶道を自宅ではやりたくない‥」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これはもっと気軽に茶の湯を楽しむインテリアです。そして煩雑になりやすい日常生活の中に『心のゆとりと生活の潤い』をもたらすものです。
『床飾り』『点前座の道具組み』を作る所を決めて、茶の湯インテリアを始めてみましょう。本書を読めばその場所は直ぐに見つかり、茶の湯インテリアは作れます。
それだけで、あなたの家が世界に誇れる『日本人のもてなしの心のある生活』へと変わっていくのです。
お客様が来られない時でも、忙しい日常の中で、家族で茶の湯を楽しむ潤いのある生活が生まれます。
茶の湯を志している皆様の日常生活が必ず一歩豊かになるインテリア術です。
■もくじ
【第1章】いつでも出来る、リビング ダイニングで茶の湯のおもてなし
ダイニングで気軽に茶の湯のおもてなし
1-1-1)ダイニングテーブルに茶の湯空間を作る
1-1-2)ダイニングで『添え点茶盤』の茶の湯のおもてなし
1-1-3)ダイニングに『立礼卓を置く』
リビングでゆったりと茶の湯のおもてなし
1-2-1)リビングテーブルで気軽に茶のおもてなし
1-2-2)リビングテーブルに『添え点茶盤』を付けて点前座にする
1-2-3)リビングに立礼卓を置く
『壁床』と『点前座』の作り方
1-3-1)『壁床』の具体的な作り方
1-3-2)点前座の道具組
茶の湯インテリアのテイストとあなたの部屋のテイスト
1-4-1)モダンテイストの茶の湯インテリア
1-4-2)アジアンテイストの茶の湯インテリア
【コラム1】茶の湯空間の美しい見せ方
【コラム2】茶の湯空間にテレビは置かない
【コラム3】自分で出来る『役釘』の打ち方
【コラム4】点前座のテーブルの高さ
【第2章】畳ルームでモダンな茶の湯のおもてなし
リビングに繋がった四畳半を茶室にする
2-1-1)リビングの東側に和室がある場合
2-1-2)リビングの西側に和室がある場合
南面する四畳半がある場合
2-2-1)リビングの西側に和室がある場合
2-2-2)リビングの東側に和室がある場合
タンスが置いてある四畳半を茶室にする
2-3-1)LDKの東側に和室がある場合
2-3-2)LDKの西側に和室がある場合
2-3-3)置炉の置く位置
『壁床』の作り方
2-4-1)壁床の床柱
2-4-2)床廻りの釘
【コラム5】置き炉を畳に埋め込み本格的な茶室にする
【コラム6】見立ての茶道具
おおぬきゆーじ(本名 大貫雄二郎) 1959年生まれ 東京都出身
大貫雄二郎一級建築士事務所主宰
一級建築士 第303610号
インテリアコーディネーターNo.101391A
茶道 裏千家専任講師
略歴
1959年 東京に生まれる
・東京芸術大学美術学部 構成デザイン修士課程終了
・㈱GK ハウジングデザイン部
・セキスイハイムの住宅商品開発を、チーフデザイナーとして従事
・セキスイハイムグループの住宅の提案力強化研修 延べ2.5千人以上育成
・セキスイデザインワークス㈱リフォーム部責任者
現在
『日本の住まいを美しくする』活動をしています
・ホームページ/SNSにてインテリア作りのノウハウ発信
・電子書籍 インテリア実践書シリーズ出版
・茶人向け、茶室設計
・住宅会社様向け、提案力強化研修/折衝案件、提案支援
ホームページ:http://yujiro-onuki.com