家族を捨てたぼくは、
兄の死の知らせに再び故郷の土を踏む――
そして知る、慟哭の真実とは?
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』で話題の著者が贈る
ミステリデビュー作
フリーライターとして暮らす小野寺衛は、宮城県松島から上京後、一度も帰省をしていない。知的障害のある兄をまもってほしいと両親から衛と名付けられたが、東日本大震災を機に故郷を、家族を、兄を捨てたのだ。だが、その兄が急死したという知らせを受け、衛は7年ぶりに故郷に帰ることを決意する。子どもの頃一緒に遊んだ海岸で兄は自死したらしいが、家族や友人の話を聞いた衛はそれを信じることができない。兄の死の謎を追う衛が知る、慟哭の真実とは? 障害者への差別意識や、貧しさへの“怒り”に満ちた筆致で贈る、ミステリデビュー作。
1983年、宮城県生まれ。2022年、本作で小説家デビュー。