長きにわたる人生の大半を、悪魔と超自然現象の探求についやす謎の男、サイモン・アーク。本書は彼が対峙した多くの怪事件の中から、著者ホックの自薦作をまとめた、日本独自の短編集第2弾である。大企業が牛耳る街ベイン・シティーで発生した殺人の謎と、大学で進められる遺伝学の研究に隠された秘密をめぐる、力作中編「真鍮の街」をはじめ、カスパー・ハウザーの伝説や宇宙からの侵略者、吸血鬼、ファラオの呪いなどが引き起こしたとしか思えない難事件を、卓越した推理力で解明していくアークの活躍譚、全8編を収録。珠玉の第2短編集。
【エドワード・D・ホック】
アメリカの作家。1930年生まれ。1955年、サイモン・アークもの「死者の村」でデビューしたホックは、50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。『サム・ホーソーンの事件簿』のホーソーン医師やレオポルド警部など、多彩な探偵役を起用して謎解きの醍醐味を満喫させる作風は本国でも高く評価され、MWAグランドマスター賞をはじめ、数々の栄誉に輝いている。
【木村二郎】
翻訳家・ミステリー研究家・作家。主な訳書、ホック「サム・ホーソーンの事件簿1」「夜はわが友」、バウカー「約束の土地」、ウェストレイク「泥棒が1ダース」、ゴアズ「スペード&アーチャー探偵事務所」、プロンジーニ「幻影」など。