風変わりな人々や事物が関わる奇妙な事件の起こるとき、謎の男サイモン・アークは現われる。あるときは超常現象研究者、またあるときは私立探偵として。大勢の警官が監視する中、焼死したはずの男が成し遂げた不可能犯罪、ブラジルの海岸で見つかったミイラのように防腐処理された死体の謎、現代ニューヨークに住まう魔女が生み出した回転ドアの密室、大洪水に備えて砂漠で箱船を造る男の周囲で発生した殺人……暗黒の事象と犯罪が交差する怪事件を、オカルト探偵が明晰な推理力で解いていく8編を収録した、圧巻の第5短編集。日本オリジナル編集。
【エドワード・D・ホック】
アメリカの作家。1930年生まれ。1955年、サイモン・アークもの「死者の村」でデビューしたホックは、50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。『サム・ホーソーンの事件簿』のホーソーン医師やレオポルド警部など、多彩な探偵役を起用して謎解きの醍醐味を満喫させる作風は本国でも高く評価され、MWAグランドマスター賞をはじめ、数々の栄誉に輝いている。
【木村二郎】
翻訳家・ミステリー研究家・作家。主な訳書、ホック「サム・ホーソーンの事件簿1」「夜はわが友」、バウカー「約束の土地」、ウェストレイク「泥棒が1ダース」、ゴアズ「スペード&アーチャー探偵事務所」、プロンジーニ「幻影」など。