維新に揺れる明治の京。
不可解な謎に挑むのは、
尾張出身の若き武士と初代司法卿・江藤新平。
死刑執行当日、なぜ囚人は毒殺されたのか?
論理の糸が手繰り寄せる、
幕末から明治の世を生きた名もなき人々の哀しき犯罪。
動乱の時代の行く末に二人の“名探偵”を待つ運命は――
破格の評価をもって迎えられた連作時代本格推理
慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人――動乱の陰で生まれた不可解な謎から、論理の糸は名もなき人々の悲哀を手繰り寄せる。破格の評価をもって迎えられた第12回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、連作時代本格推理。第19回本格ミステリ大賞受賞。
【目次】
佐賀から来た男
弾正台切腹事件
監獄舎の殺人
桜
そして、佐賀の乱
解説=末國善己
1991年愛知県生まれ。同志社大学卒。2015年「