日本文化とほぼ同義に使われている「伝統文化」という言葉、さてこれはどういうものを言うのでしょうか。本書では「伝統」という言葉の定義や語彙史を考えることをふりだしに、古代・中世・近代という文化の画期や、中国の影響を受けながら発達してきた日本文化の歩み、「風流」「侘びと寂び」「型」「見立て」といった言葉に象徴される日本文化の独自性をみていきます。さらに「近代化」と「伝統」との関係性を考察すると、「伝統」とは抽象化され維持されているものであり、ある文化が危機に瀕した時にこそいわれるものであることがわかってきます。茶道を考えるうえでの土台ともなる一冊です。