金田一京助が綴る石川啄木の事件簿
日本一の高塔として名を馳せる浅草十二階で、幽霊が目撃された――。明治四十二年九月、僕、金田一京助のもとへ石川啄木が持ち込んできた、幽霊騒動を報じる新聞記事。抜群の詩歌の才能を持ちながらも世に認められない啄木は、家族を養うため探偵業をはじめたところだった。その才能にほれ込んでいた僕は、助手役として探偵業に巻き込まれるが、事件は意外な方向へ……。第三回創元推理短編賞受賞作「高塔奇譚」をはじめ、人形の頭が男の喉を咬み切ったという怪事件「忍冬」など、トリックとロジックが冴える五編を収録する傑作連作ミステリ集。
【目次】
第一話 高塔奇譚
第二話 忍冬
第三話 鳥人
第四話 逢魔が刻
第五話 魔窟の女
解説=細谷正充
1948年埼玉県深谷市生まれ。1996年「高塔奇譚」