福家警部補の考察

大倉崇裕

Dec 2023 · 福家警部補シリーズ Book 5 · 東京創元社

About this ebook

福家さんには、全部お見通しなのね。

類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官探偵

現代の倒叙ミステリを代表するシリーズ第5集

パスタを一本つまみ上げ、噛んでみる。まだ少し早い。水洗いしてボウルに入れておいたレタスに手を伸ばそうとしたとき、金属音と、それに続いて重いものが屋根を転がり落ちていく音が聞こえた。誠が屋根から落ちたのだ。もう少し待ってくれてもいいじゃないの、パスタが無駄になっちゃうわ。いつも間が悪いんだから――夫の“事故死”をめぐり、一見おっとりした妻の中本さゆりと福家警部補が熾烈な心理戦を繰り広げる「上品な魔女」ほか三編を収録。類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官名探偵の活躍を描き、現代の倒叙ミステリを代表するシリーズに成長した〈福家警部補の事件簿〉第五集。

【目次】

是枝哲の敗北

上品な魔女

安息の場所

東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き

解説＝小出和代

About the author

1968年11月6日、京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」が第4回創元推理短編賞佳作に。98年「ツール＆ストール」で、第20回小説推理新人賞を受賞。著書に『七度狐』『聖域』『小鳥を愛した容疑者』『樹海警察』など。