餓えと病、暴力と死、
そして自由を知った。
〈破滅三部作〉で知られる20世紀SFの巨匠の名を不動のものとした瞠目の傑作長編、新訳決定版
第二次世界大戦の波が押し寄せつつある国際都市上海。共同租界に暮らす西洋人の日常は、本格的な日本軍の侵攻によって一変した。混乱する街中で両親と離ればなれになったイギリス人少年ジムは、西洋人が連れ去られた街で遺棄された屋敷やアパルトマンを転々として生き延びようとするが、やがて日本兵に捕らえられ、龍華収容所へと送られる──〈破滅三部作〉などで知られるニュー・ウェーヴSFの旗手が、その創作活動の源となった少年期の実体験に基づき書き上げた本書は、ブッカー賞の候補となって一躍文芸界でバラードの名を高らしめた。瞠目の傑作長編を新訳決定版にて贈る。
解説=柳下毅一郎
英国を代表する作家。1930年、上海生まれ。「
1951年福岡県生まれ。慶應義塾大学中退。