密かにめぐらされた企みの糸
新世代の巧手が贈る全4編
第12回創元SF短編賞受賞作にはじまるデビュー作品集
寂れた島で過ごした夏、記憶の中で鮮やかさを増す夏、限りなく続く仮想の夏――夏を舞台とする4編に、青春のきらめきと痛みを封じこめた、第12回創元SF短編賞受賞作を表題とするデビュー作品集。
【目次】
「射手座の香る夏」
意識の転送技術を濫用し、危険で違法な〈動物乗り(ズーシフト)〉に興じる若者たち
「十五までは神のうち」
出生の〈巻き戻し〉が合法化された日本で、過ぎ去りし夏の日の謎を追う男性
「さよなら、スチールヘッド」
限りなく夏が続く仮想世界で、自らの身体性に思い悩む人口知性の少年少女
「影たちのいたところ」
少女の憂鬱な夏休みにある日現れた、九つの“影”をつれた男の子
解説=飛 浩隆
1990年生まれ。慶應義塾大学推理小説同好会出身。