シリーズ最終巻は、優雅で趣き深い名編『松風の記憶』と、
安楽椅子探偵の妙味が味わえる『第三の演出者』の長編2本を掲載
巡業先の広島の古刹で変死した、歌舞伎俳優・浅尾当次。その報を竹野記者から受けた雅楽は、親友である当次の死に疑問を持つ。一方、女子高校生の仲宮ふみ子は、修学旅行で当次の亡くなった古刹を訪れていた。数年後、ふみ子は、当次の長男・当太郎と運命的に出会う――著者の初長編『松風の記憶』。美しい演出家未亡人と若き劇団員が絡み合う、劇団ツバメ座で起こったふしぎな事件の真相を、竹野記者の手記のみから雅楽が推理する『第三の演出者』。戸板康二が遺した雅楽もの長編を完全収録。資料も充実の《中村雅楽探偵全集》シリーズ最終巻。
【収録作】
「松風の記憶」
「第三の演出者」
中村雅楽エッセイ=戸板康二
徳間ノベルズ版『松風の記憶』 あとがき=戸板康二
講談社文庫版『松風の記憶』 後記=戸板康二
創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
1915年東京生まれ。慶應義塾大学国文学科卒。劇評家、