攘夷に生きることが義務なのだ」
幕末の水戸藩士、天狗党の首領格・藤田小四郎の推理と生涯
父・東湖の死の真相、密室殺人の罠、瀕死の兵を襲う〈化人〉
『恋牡丹』『雪旅籠』でファンの心を掴んだ新鋭が贈る時代推理の傑作
元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。
【目次】
天地揺らぐ
蔵の中
分かれ道
幾山河
1963年東京都生まれ。早稲田大学卒。2017年、