その誕生や成り立ちは、実に大きく異なる!
『古事記』と『日本書紀』は、ほぼ同時期に藤原不比等によって
作られている。
始祖神・アマテラスも「記紀」編纂時に誕生したのであれば、
加羅系渡来集団の始祖崇神・垂仁が祭ったアマテルを自分の妻神(ヒメ神)
とした八幡神よりもっと「あとに」生れた神である。
藤原不比等は天武→持統(女性天皇)→文武→元明(女性天皇)
→元正(女性天皇)→聖武天皇→孝謙天皇(女性天皇)と
皇位継承の危機的状況が予想されるなか、
天皇家の始祖神をアマテル神でもなく、八幡神でもなく、
アマテラス神を「日本」という呼び名にふさわしいものとして作ったのである。
アマテラスが女神であるのはそのためである。
本書はアマテラスを祖とし神武を初代天皇とする万世一系天皇の物語「記紀」
を検証し、日本古代国家が、新旧二つの朝鮮半島から渡来した加羅系と百済系の
集団によって建国されたことを明らかにするものである。
林 順治(ハヤシジュンジ)
はやし・じゅんじ
1940年、東京生まれ。古代史研究、文筆業。
著書に、
『馬子の墓 誰が石舞台古墳を暴いたのか』
(彩流社、2001年)、
『義経紀行 弁慶はエミシの末裔だった』
(彩流社、2002年)、
『アマテラス誕生 日本古代史の全貌』
(彩流社、2006年)、
『武蔵坊弁慶 神になったエミシの末裔』
(彩流社、2007年)、
『隅田八幡鏡 日本国家の起源をもとめて』
(彩流社、2009年)、
『応神=ヤマトタケルは朝鮮人だった 異説日本国家の起源』
(河出書房新社、2009年)、
『日本人の正体 大王たちのまほろば』
(三五館、2010年)、
『仁徳陵の被葬者は継体天皇だ』
(河出書房新社、2011年)、
『法隆寺の正体 もし聖徳太子が仏教王蘇我馬子であるならば』
(彩流社、2013年)、
『古代七つの金石文 日本古代成立の正体を知る』
(彩流社、2013年)、
『アマテラスの正体 伊勢神宮はいつ創られたか』
(彩流社、2014.年)、
『日本古代国家の秘密 隠された新旧二つの朝鮮渡来集団』
(彩流社、2015年)、
『エミシはなぜ天皇に差別されたか 前九年の役と後三年の役』
(彩流社、2016年)、
『沖縄! ウチナンチューはいつから日本人になったのか』
(彩流社、2016年)、
『日本古代史問答法 『日本書紀』の虚と実を明らかにする』
(彩流社、 2017年)、
『『日本書紀』集中講義 天武・持統・藤原不比等を語る』
(えにし書房、2017年)、
『日本古代史集中講義 天皇・アマテラス・エミシを語る』
(えにし書房、2017年)、
『干支一運60年の天皇紀 藤原不比等の歴史改作システムを解く』
(えにし書房、2018年)、
『八幡神の正体 もしも応神天皇が百済人であるならば
新装改訂版』(えにし書房、2018年)、
『天皇象徴の起源と〈私〉の哲学 日本古代史から実存を問う』
(えにし書房、2019年)、
『日本古代史の正体 桓武天皇は百済人だった』
(えにし書房、2019年)、
『蘇我王朝の正体 大王馬子・蝦夷・入鹿を語る』
(彩流社、2019年)、
『天武天皇の正体 古人大兄=大海人=天武の真相』
(えにし書房、2020年)ほか。