枠 下巻

· Bok 2 ·
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この枠の向こうへ 僕を連れていってくれないか

高校三年生の洋平は失声症を患っていた。

言葉を話せない洋平は、友達もおらず、学校へ行く意味も見出せない。だから、ただ一人、そんな洋平を理解してくれる大地とともに、学校をさぼり、暇を持て余す日々を送っていた。

そんなある日、洋平は高校に新しく赴任してきた臨時教員、アサクラと出会う。

アサクラの純粋で真っ直ぐな人柄に次第に魅せられていく洋平。洋平はアサクラと話したいと思うようになっていた。

一方で、村の青年団員でもある大地は、団長の徳永から村に古くから伝わる『成人の儀式』の話を聞かされる。儀式を受けて早く大人になりたい大地と、声が出ないもどかしさを抱えて生きる洋平。二人は運命の糸に引き寄せられるように成人の儀式へと向かっていくが、そこには村の一部の人間しか知らない秘密の隠し事が存在していた。

思春期の高校生達が、与えられた枠の中でもがき、葛藤し、力強く生きていく姿を描くヒューマンドラマ。上下二巻から成る壮大なドラマをお楽しみください!

Om författaren

1977年、栃木県生まれ。

17歳の時にイギリスへ留学したことを機に日本の外に興味を持つ。高校卒業後に渡米。カリフォルニア州立大学・大学院にて、7年間、機械工学を勉強する。帰国後、3年間、民間企業でエンジニアとして働いた後、執筆活動に入る。主な作品に、ツナガリ、オモヒヤル、ジンセイイチド。

日本社会の生き辛さをテーマに、身近に起こり得る問題を小説という形に落とし込む現代小説家。周囲に対してあと少しだけ寛容な社会、個人の在り方が尊重され各々が自信を持って行動できる社会、そして頑張っている人が報われる社会、そういう社会に近づくように。少しずつ。一歩ずつ。

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