名探偵、五狐焚風。助手、わたし、鳴宮夕暮。
20年ぶりの再会を経て、かつての名探偵と助手は、
過去の推理を検証する旅に出る――
桜庭一樹の新たな代表作、誕生!
かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。
……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気チャンネルで突如、名探偵の弾劾が始まった。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者とは? 名探偵の助手だった鳴宮夕暮——わたしは、かつての名探偵――風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。
平成を見つめ直しながら令和を照射する、一大ミステリ・エンタテインメント!
1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』と改題して刊行)