僕が恋した18歳の姿のままで――
彼女が18歳に留まる原因を探るため奔走しながら、
僕は高校時代を追想する。
ほろ苦い、“青春の空回り”を巧みに描いた、注目の俊英が贈るミステリ長編
通勤途中の駅で見かけた二和美咲は、あのころの、僕が恋をした18歳の姿のまま佇んでいた。それはまぼろしでも他人の空似でもなく、僕が高校を卒業したあとも、彼女は当時の姿のままでずっと高校に通い続けているという。周囲の人々は不思議に感じないようだが、僕だけはいつまでたっても違和感がなくならない。なぜ彼女は高校生の18歳のままの姿なのか。その原因は最初の高校3年生のころにあるはずだと、当時の級友や恩師のもとを訪ね、彼女の身に何が起こっているのか調べ始める。気鋭の作家が描く、心締めつけられる青春と追想のミステリ。
解説=若林踏
1989年生まれ。2012年に『ノワール・レヴナント』