「素のチャート」で転換点を見極め、トレードしていくことである!
◆短期トレードは難しくない
投資運用における大きな誤解のひとつは、中長期投資のほうが、短期トレードよりも、リスクが小さいと思われていることです。ただし、中長期投資は保有期間中に起こりうる投資環境の変化に弱いです。
逆に、短期トレードはノウハウと経験、技術だけでほぼ完結します。また、結果がすぐに分かる短期トレードは、想定外のことが起きても迅速に対処できるために、傷口が広がりません。損失が出ても少なく、取り返すのも容易なのです。そもそも、想定外のことが起きる可能性も、中長期投資に比べて格段に低いのです。
相場が恐いという人は、あまり相場を知らない人です。知っている人は、難しいと言います。難しいものは、努力することで対処できます。リスクを目の前で起きていることだけに限定すると、リスク管理が容易になります。
◆山越えを待って売り、谷越えを待って買う=転換点の見極め
本書では、最も効率的な運用は「山越えを待って売り、谷越えを待って買う」ことに尽きると言っています。「山越えを待って売り、谷越えを待って買う」とは、言い換えれば、売り買いの「転換点」を見極めることでもあります。
ここで問題なのが、転換点を“どうやって見極めるか”です。その方法として、まず代表的なテクニカル指標を学んでいただき、そのあとで、転換点の見極めに役立つ6つのテクニカル指標を紹介します。
◆簡単(シンプル)=稚拙ではない
本書では、リスク管理がセットになっていて、誰であってもやりやすい方法の一例として、移動平均線のゴールデンクロス(GC)でのロング&デッドクロス(DC)でのショートを紹介しています。
ゴールデンクロスやデッドクロスは、あまりにも有名で、それこそネットで検索すればすぐに出てくるような手法です。
ですから、「そんな誰もが知っているような簡単な手法を教えてもらっても……」と考える人が出てきてもおかしくはありません。
でも、早計は禁物です。「簡単」「単純」は、「初歩的」「稚拙」を意味するものではありません。合理的なものは単純なのです。ほぼすべての分野で本物の勝負師ほど、単純な手法を用いています。単純な手法は、想定外の事態への対処が容易だからです。
事実、ゴールデンクロスやデッドクロスも、パラメーターの設定等により、長期の波動に幅を持たせれば、ゴールデンクロス&デッドクロスの弱点でもある保合い相場でのエントリー回数を減らせます。
◆本書の最終目的は、テクニカル指標を排除したトレードである
本書の最大の売りは、最終目標を「テクニカルを排除したトレード」に置いているところです。 テクニカル指標を参考にしたトレード手法は数多くありますが、「テクニカル指標を使わずに転換点を見極めトレードしていこう」という点は斬新です 具体的には、「素のチャート」にて、4つの値動き(高値&安値切り上げ、高値&安値切り下げ、抱き線、はらみ線。前半の2つは転換点、後半の2つは様子見)で建玉操作していく方法を学びます。
◆知っていることと、使いこなせることとは違う
そして、大切なのはここからです。本書で知ったことを、「学んだ」だけで終わりにしないでください。実践してみてください。何度も何度も、繰り返して練習することでのみ、技術は上達します。
自動車の教習所と同じで、知っただけでは運転はできません。車を実際に動かすという経験が絶対に必要になります。
もちろん、最初は小額で構いません。トライ&エラーを繰り返しながら実戦経験を積んでいけば、そのうち「投資は怖い」「投資は難しい」という気持ちも薄らいできます。「怖い」と思ったり、「難しい」と思ったりするのは、実戦経験が圧倒的に足りていないからです。そこを忘れないでください。
本書を読んだ皆さんに、素敵な投資ライフが訪れることを祈ります。