死体は血を流さない(改訂増補版): 聖堂騎士団vs救院騎士団: サンタクロースの錬金術とスペードの女王 に関する科学研究費B海外学術調査報告書

· 瓦塔院出版
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これこそが本物の錬金術だ! それは隠語で示されている。たとえば「リンゴ」は球形フラスコ、「台所」は実験室。「聖槍(ランス)」に「聖釘(ネイル)」を組み込み、「聖杯(カリス)」つまり、「黄金」「乳香」「没薬」を使った半導体に、「聖ニコラオスの遺骨」でプラズマの高エネルギーをかけ、「ニグレド(黒化体)」を「アルベド(白化体、知者の石(ラピス・エールディートゥロールム))」に転換し、最終的には「ルベド(赤化体、賢者の石(ラピス・フィロソフォールム))」に昇華させる。それは通常の物質と異なる鏡像構造を持ち、光によって細胞テロメアを修復し、神々のような永遠の命を可能にする。だが、それにはまず鏡像構造の種、「聖血」が必要だ。


はるか原始、隕石として宇宙から偶然に得られた命の種、鏡像構造の「聖血」は、古来、数々の勢力の間に争いをもたらしてきた。それこそが、世界の歴史そのものとさえ言える。ことに十字軍時代の聖堂騎士団と救院騎士団の奪い合いは壮絶を極めた。しかし、彼らが命がけで奪い守ったその大半は偽物で、数多くの伝承のウソがまとわりついており、いま、本物がどこにあるのか、謎に包まれたままだ。


そんな救いがたい謎に、マニアックな田舎学者、古宮たちは巻き込まれた。最初は、ほんの小さな面倒ごとにすぎなかった。大金持ちの女公の行方不明の息子を探すだけでいいはずだった。ところが、その婚約者の老養父の方が狙撃銃を持って女公に迫ってきているという。その背景には、第二次世界大戦中の根深い遺恨が渦巻いており、そこには「聖血」の行方の謎も絡んでいた。


このため、古宮たちは、古代からの「聖血」の伝承の真偽を丹念に確かめながら、狙撃手の老養父を探そうとするのだが、聖遺物収集を妨害するCIAのコレクター教授や、人類絶滅を図る狂信的な環境主義の元聖職者も関わってきて、事態はひたすら複雑化。そもそも女公も背後で奇妙なプロジェクトを強行しようとしており、古宮たちは、クリスマスシーズンの最中、プラハ、ニュルンベルク、ローテンブルク、ミュンヘン、アウグスブルク、シュトゥットガルト、そして、ノイシュヴァンシュタイン城やケルン大聖堂へ、駆け巡らなければならなくなる。


現代と過去、そして中世。最新の情報と厳密な史実に基づいて構成され、複雑に張り巡らされた伏線が、読者を真冬のドイツの森の暗い旅に誘う。千ぺージを超えるこの知の巨大迷宮を、あなたは読み解くことができるだろうか。

About the author

大阪芸術大学芸術学部哲学教授、

美術博士(東京藝術大学)、文学修士(東京大学)

ゆかり幼稚園、成城学園、東京大学卒。

テレビ朝日ブレーン、玉川大学講師、東海大学准教授、

ドイツ・マインツ大学客員教授を経て、現職。

専門は、哲学、メディア文化論、映画学。みずからも小説、作曲、

デザインなどの創作を数多く手がけている。


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