本書を読むと、幕末維新の激動の中で、幕府方、官軍方ともに、日本の国の運営は日本の中で決めなければならず、当時の中国やアジアが列強に侵されていることに対する危機感を有し、日本の国内で争う中で、列強に付け入る隙を与えてしまっては日本の独立が危うくなるという認識を共有する人材が少なからずいたということが、日本にとって実に幸いだったということを痛感させられます。
また、明治国家の建設・運営のために、幕末維新の中で激しく死闘を繰り広げた幕府方,佐幕派の当の相手方の人材を要職に起用して、一致団結して国家建設に邁進し、国家の存亡をかけた日清・日露の戦いを勝ち抜き、独立を保持し得たことに、深い感慨を覚えます。