病院のベッドで目覚めたアライナは、傍らにいた黒髪の魅力的な男性をひと目見て心奪われた。「あなたは誰? ドクターかしら?」男性は目を見開いた。「ぼくはポーター。きみの夫だ」アライナは交通事故に遭い、過去5年間の記憶を失っていた。かわいい赤ん坊の息子のことも、贅沢な海辺の家での暮らしも、裕福な経営者の夫に恋をして結婚したことも、なにひとつ思い出せない。だが、喪失感と孤独に苦しむ日々の中、夫に優しく慰められるうちアライナは気づいてしまった。事故に遭う前、二人が離婚寸前だったこと、それなのに今、二人の間に情熱の炎が燃え上がろうとしていることに。