死者の物語を宿した品々と引き換えに学芸員がもたらすのは、
救済か、破局か――
熟練の技巧が冴え渡る、
死者と生者を繋ぐ八つの物語。
遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。
【目次】
川の様子を見に行く
ふたりの秘密のために
燃やしても過去は消えない
不器用なダンスを踊ろう
何かを集めずにはいられない
空に金魚を泳がせる
時を戻す魔法
大切なものは人それぞれ
解説=三島政幸
1959年愛知県生まれ。81年、「帰郷」が「