75歳、油揚がある

· 亜紀書房
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《80歳への積極宣言》

明るい色の服を着る。
いい音楽や芝居をめでる。
ひとりで小さな旅に出る。
——かけがえのない「ひとり時間」を縦横無尽に楽しむ方法

  残りわずかな人生を消化試合にしてしまっては面白くない。
  生きる実感も持ちたい。日常を離れて冒険したい。
  幸いまだ元気な身ならできそうだ。
  大好きな〈焼油揚〉で一杯やりながら。
  ——「おわりに」より

《居酒屋作家の楽しい老年案内》


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 豆腐は食べ物の大発明と思う。大豆を茹でて絞り、にがりを打って固まった、ゆるやかにして純白、自在にどんな形にもなる清浄無垢な姿は、もともとを想像できず、料理の脇役、ときに主役として、懐の深さをみせる。
 融通無碍、毎日でも飽きない、栄養もある。村にも町にも豆腐だけをつくって売る専門店があり、自転車でラッパを吹いて売りに来る日常に欠かせないものとなった。人も年齢を重ねたら、このように在りたい。
 その豆腐を油で揚げた油揚は、姿も食感も味も一変。新たに生まれた独自の個性は、煮てよし、焼いてよし、包んでよし。稲荷神社に供えられて手を合わされ、トンビにさらわれる品にまでなった。これは豆腐の劇的進化、いや昇華だ。
 人生にも進化や昇華はあるだろうか。経験が昇華して新たな境地に至るのなら、長く生きる価値がある。そうなれるか。そうありたいか。

——「はじめに」より


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【目次】
はじめに
Ⅰ……いまの自分を楽しもう
Ⅱ……続けたら見えてきた
Ⅲ……生きる実感を求めて旅へ
おわりに——私の徒然草

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【おすすめ】
太田和彦『70歳、これからは湯豆腐』
高望みどころか望みなし。もうひとりでいい。
夜一杯飲めればじゅうぶん。これは楽だ。——本文より
居酒屋作家のうたかたエッセイ。豊かな「ひとり時間」の過ごし方。

太田和彦『酒と人生の一人作法』
70すぎたら愉しくなった!「老後」を受け入れて初めて、大切なものが見えてくる。
粋と喜びに彩られた“オオタ式”享楽人生論。

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