電子出版時代の著作権入門: 出版契約に必要な実務知識のエッセンス

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 最近の著作権に関わるトピックといえば、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関連する問題があります。この協定がほぼ合意となっている現在、主導する立場にあるアメリカの意向に譲歩する形で、著作権の保護期間が延長される状況にあります。つまり、日本でこれまで死後50年と規定されていた著作権保護期間が、70年に延長されるわけです。
 著作権保護期間も著作権に関する大事な知識ですが、出版に関連して知っておくべき著作権の要点は、これだけではありません。
 たとえば、書籍を執筆する際に、自分の主張を強化するために、他者の書いた書籍から関連した記載内容を載せる場合があります。このとき、どこまでが「引用」(著作権上認められている)であり、どうなると「転載」(いわゆる「パクり」)になるのでしょうか。
 あるいは、書籍を出版物として刊行・販売しているのは、出版社という著作者とは別の人(組織)です。ここには、著作権上、どんな決まり事があって、自分の著作物を他人が商品として販売できるのでしょうか。
 本書は、電子出版を含めて、出版業務、とくに出版契約に大きく関係する著作権の要点をコンパクトにわかりやすく解説しました。書籍・雑誌の編集・制作・販売に携わる方はもちろん、その執筆者の方々、この業界に関心のある方に、ぜひご一読いただきたい一冊です。
【目次】
刊行にあたって
はじめに――著作権の知識はどんなときに必要か
01 著作物の利用と著作権の制限
 著作物と著作権/著作権と出版権/利用許諾 など
02 著作権法のモデルとビジネスモデル
03 著作権は何のための制度化か――財産権と人格権
 人格権/財産権
04 著作物の意義――権利と公共性
 著作権は支分権で構成される/なぜ保護期間があるのか など
05 著作物性――著作物の境界
 定義/ありふれた表現/記事の見出し/写真/応用美術/タイプフェイス/キャラクター など
06 誰が著作者か?
 企画者は著作者か/インタビュー記事の著作権は?/職務著作 など
07 著作権の内容――支分権
 複製権と公衆送信権/譲渡権
08 権利の消尽と支分権
 ファースト・セール・ドクトリン/紙媒体での出版と電子出版との違い など
09 制限規定
 引用/公開の美術/写り込み/サムネイル
10 権利の取引
 権利譲渡、信託的譲渡/出版権 など
11 二次的著作物
 翻訳・翻案権と著作権譲渡契約/原著作者の権利
12 著作隣接権

About the author

 昭和37年生まれ。昭和60年東京大学工学部卒業、同年株式会社新潮社入社。同社において、雑誌編集、映像・音声事業、電子書籍事業を担当。平成16年司法試験合格。平成17年同社退社、司法研修所入所(59期)。平成18年弁護士登録。現在、弁護士。新潮社の法務を担当するほか、用賀法律事務所主宰として、映像・IT・出版系を中心とした企業法務を手がけている。
 著書に、『電子書籍・出版の契約実務と著作権』(民事法研究会)、『電子書籍の真実』(株式会社マイナビ出版)がある。

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