「生きがい」: マーラーの交響曲第五番

String Fiction Series Book 10 · 山中伶子
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74才のアマチュアチェリストがアマオケで、弾きこなすことは不可能と思われる程の非常に難しい曲に遭遇した時にどう向き合ったか?


あらすじ


 主人公「私」は、長年趣味でチェロを弾いてきた。妻もバイオリンをやっている。

 私たちは、あるアマチュア・オーケストラでマーラーの交響曲を弾くことになる。私がレッスンを受けてきた先生がこのオーケストラで、ラロのチェロ協奏曲の独奏をすることがきっかけである。そしてプログラムのもう一曲がマーラーの交響曲第五番であった。この難曲を妻ともども懸命に練習する。しかし、私たちにとってこの曲は難しすぎる。それは私のやる気をすっかり無くしてしまうほどで、チェロそのものをやめたくなってしまう。

 七十四歳の私と六十九歳の妻がなおもチェロやバイオリンを弾き続け、難しい曲に取り組むことの意味を話し合う。二人は、誰のためでもなく、自分自身のためと考えることで、苦痛でしかないようなこうした難曲の練習からも喜びを得ることができることに気付く。また楽器の演奏をやめるのは、急がなくてもそのときは向こうからやって来る。それまでは続けようと考えることにして何とか本番までこぎつける。


About the author

著者紹介 ー1939年~2021年ー

著者プロフィール(2020年5月)より

「名古屋生れ、広島大学卒。小学校の教員暦七年、その後一般のサラリーマンを三十数年。いまはリタイアして悠々自適の生活を享受中。大学時代に始めた弦楽器(初めはヴィオラ、その後チェロ)を今も続けている一方、小説や随筆の執筆にも力を入れたいと思っています。

書くものとしては文学的なものから推理もの、歴史もの、恋愛もの、ファンタジー、社会派的なものなどジャンルを選びませんが、常にベースには何らかの形で音楽が絡んだものにしたいと考えています。

ライフワークとしたい目標は、音楽を前面に出したもので読者の方々に小説としての読み応えと、そこに登場する音楽を是非聴きたいと思ってもらえるような、しかも私の著述によってその物語にも音楽にも感動してもらえるような作品を完成させたいと思っています。」

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