捜査陣を惑わすアリバイの迷路。
砧が解き明かした驚くべき真相とは?
孤高の本格推理作家が遺した幻の力作長編、
ついに刊行!
自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。
【目次】
ダミー・プロット
序章
第一章 奇妙な契約
第二章 犯行以前
第三章 首
第四章 二つの死体
第五章 アリバイ
第六章 殺意の接点
第七章 昏迷
第八章 録画は語る
第九章 壬庚子の秘密
終章
推理クイズ
賭博
おんぼろバス
探偵学初歩
アリバイ
エッセイ
本格のトリックは出つくしたか?
トリック問答
想い出五十年
編者解題=戸田和光
盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
1924年大阪府生まれ。51年、《宝石》