東京で働くことになった従兄弟の啓介と10 年ぶりに再会した誠一は、啓介にやましい思いを感じていた。高校生だった10 年前の夏、ふたりは恋に落ち、啓介に「高校を卒業したら迎えに来る」と約束したものの、街で暮らすうちに田舎の従兄弟への想いは薄れ約束を破ったからだ。しかし啓介は迎えに来なかった誠一をいっさい責めなかった。
ホッとした誠一は啓介と再び体の関係を持つようになる。優しく抱きしめてすべてを受け入れ愛してくれる啓介といると心地がよかった。
だがそんなある日、ふたりの関係はふいに動き出し──。
一途に愛し続ける男とその愛を利用する男の関係を描いた、ほろ苦い大人のラブストーリー。
表題作のほかに、啓介視点で描かれた「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」、啓介の子供・貴之の物語「空を見上げて、両手広げて」1と2、短編「バレンタイン」「誕生日」の2本を収録した完全版となっています。