問題があるとすれば、
この計画に逃げ道はないということだ。
“善良な”犯人が企む二つの犯罪に、福家警部補が挑む!
「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙ミステリ第4集
“善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編2編からなる第4集。
解説=西上心太
1968年11月6日、京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。