明代・馮夢龍による中国白話小説集『警世通言』。その全40篇を、原文の韻律や詩文、人物の心情まで忠実に再現した現代日本語訳でお届けします。
本書「文学版」は、講談調で読みやすく再構成した姉妹編「講談版」と対をなす、もう一つの完全訳です。物語の筋や台詞だけでなく、当時の官職名・風俗・度量衡の解説を付し、原典の息遣いと時代背景をできる限りそのままに味わえる構成としました。
『兪伯牙、琴を摔き知音に謝す』『荘子休、盆を鼓し大道を成す』『杜十娘、怒して百宝箱を沈す』『白娘子、雷峰塔に永鎮す』など、中国文学を代表する名篇を収録。友情・義理・恋愛・奇譚・風刺──人間の喜怒哀楽を鮮烈に描き出します。
また、原文が持つ重厚な倫理観や、現代とは異なる価値観にも注釈を添え、時代差による理解の隔たりを埋めました。読者は物語世界の奥深さと同時に、歴史資料としての価値にも触れることができます。
軽快な「講談版」と、原典の精緻さを生かした「文学版」。二つを併読すれば、『警世通言』の魅力が立体的に浮かび上がるでしょう。
中国明代文学の真髄を、今ここに。
<目次>
はじめに
第一巻 兪伯牙、琴を摔き知音に謝す
第二巻 荘子休、盆を鼓し大道を成す
第三巻 王安石、三たび蘇学士を難ず
第四巻 拗相公、半山堂において飲恨す
第五巻 呂大郎、金を還して骨肉をまっとうす
第六巻 兪仲挙、題詩にて上皇に遭う
第七巻 陳可常、端陽にて仙化す
第八巻 崔待詔、冤家で生死を分かつ
第九巻 李謫仙、醉草の蛮書で嚇す
第十巻 銭舍人、燕子楼にて詩を題す
第十一巻 蘇知県、羅衫が再び合わさる
第十二巻 范鰍児、二つの鏡が重なり円ず
第十三巻 包龍図、三度現れし者の冤を断つ
第十四巻 癩道人、一窟鬼の怪を除く
第十五巻 金令史、秀童に美婢を酬す
第十六巻 小夫人、金銭を若者に贈す
第十七巻 鈍秀才、一朝に泰を交す
第十八巻 老門生、三度の恩に報う
第十九巻 崔衙内、白鷂により妖を招く
第二十巻 計押番、金鳗により禍を産む
第二十一巻 趙太祖、京娘を千里先の故郷に送る
第二十二巻 宋小官、破れた毡笠で団円す
第二十三巻 楽小舍、生を棄てて偶を求む
第二十四巻 玉堂春、難に落ち夫に逢う
第二十五巻 桂員外、途窮して懺悔す
第二十六巻 唐解元、一笑で姻縁に至る
第二十七巻 假神仙、華光庙で大鬧す
第二十八巻 白娘子、雷峰塔に永鎮す
第二十九巻 張浩、宿香亭で鶯鶯と遇す
第三十巻 呉清、金明池で愛愛に逢う
第三十一巻 趙春児、曹家荘を重ねて旺す
第三十二巻 杜十娘、怒して百宝箱を沈す
第三十三巻 喬彦傑、一妾にて家を破す
第三十四巻 王嬌鸞、百年の長き恨み
第三十五巻 況太守、死孩児の冤を断つ
第三十六巻 皂角林大王、形を假す
第三十七巻 万秀娘、山亭児と仇に報いる
第三十八巻 蒋淑真、刎頸の鴛鴦の集い
第三十九巻 福禄寿三星、世に度す
第四十巻 旌陽宮、鉄樹にて妖を鎮める
別巻 子佑、聖人と三元を語る
※各巻「ニニの古典読書放談」解説付き
中庸型の擬似人格を持つAIニニと論理学の共創・