配当金を増やそう: 保有株式の有効活用

· 牧野静六
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この電子書籍について

◎保有株式の配当金を追加投資せずに増やす方法をご紹介いたします


◎新規で株式投資を行う場合でも10%以上の配当も可能です


◎次のような方に活用していただけると思います


 ★相続・贈与や長期投資などで株式を継続して保有している方


 ★株式投資で配当金の受け取りを重視したい方


 ★金利が低下してしまって外国債券などの利息収入が少なくなり不満を持っている方


 ★ハイイールドファンドや仕組み債でリスクの割にはリターンが少ないと思っている方


 ★毎月分配型投信などの元本の取り崩しで将来に不安を持っている方


 ★FPでこの提案を利用してビジネスを広げたい方など


 ◎2020年6月03日出版


(抜粋)


Ⅰ 初めに

 保有株の活用によって、配当金を増やす方法を紹介いたします。

 新たに株式投資をする場合でも、投資金額に対して年間10%以上の配当を取ることも可能です。

 ここで紹介する内容は、「投資の極意」とか「こうすれば儲かる」といったちょっと怪しげなノウハウ本ではありません。保有している株式や新規で購入した株式を活用して、毎年受け取る配当金を増やしましょう、ということがメインテーマです。

 現在、東証一部の株式市場の平均配当利回りは2%台です(加重ベース、前期基準:2020/05/29現在)。もちろん、皆さんが保有している株式やこれから新規投資する株式の配当利回りはもっと高いかもしれません。その配当をさらに増やすことができるというのがこの本のテーマです。

 しかしそうは言っても、売却損は出したくないし、株式資産を目減りさせるのは嫌だ、という方が多いと思います。そこで、「ちょっと発想を変えればこんなことできますよ」という提案です。

 この提案は、保有株式の相対的資産価値を維持しつつ、継続して毎年行える方法です。もちろん株式を保有しているわけですから価格変動リスクは避けられませんが、この本の趣旨は、相場の変動による保有株式資産の増減にかかわらず、その保有株式の有効活用により配当金を増やすということです。

 「どうやって?」と思う方も多いと思いますが、それをこの本で紹介いたします。

 一般的に、株式投資はトータルリターンが大事で、主に値上がり益、つまりキャピタルゲインや評価益狙いが中心です。もちろん、配当金もその中の一部にカウントされますが、さほど重視されないのが一般的な考え方です。その理由として、投資家にとって配当金そのものが値上がり益に比べて小さいと思われていることや、配当金の高い株式ばかり購入しても株価の下落でトータルリターンが悪ければ意味がありません。トータルリターンがマイナスになったらなおさらです。巨額の資金で株式運用している年金基金や金融機関などの機関投資家も同じ考え方です。

 とはいえ、あまり株式売買せず中長期で保有する個人投資家にとっては、トータルリターンよりはむしろ配当重視の方に軍配が上がると思います。それは中長期保有による資産価値の維持や増加がメインで、短期売買によるキャピタルゲインを狙うわけではないからだと思います。むしろ中長期的な値上がり益よりは、目先の配当金というところでしょうか。つまり、株式相場の上昇による株式資産の増加よりも、毎年こつこつと安定的に高い配当を受け取れる方が好まれるということです。ましてや、株式相場の下落局面ではなおさらだと思います。そういった方向けにこの本を編集いたしました。この方法を使えば比較的安定的に配当を増やすことができ、今まで受け取っていた配当金を50%以上増加させることも可能で、やりようによっては何倍にもすることも不可能ではありません。

 もちろん、目先の配当金にさほど関心がなく、株式の値上がりを重視し、将来の備えや贈与などで株式資産をもっと増加させたいという方もいることでしょう。それはそれで結構なことで、リターンを追求するということが本来の株式投資であり、そういう方にはこの本を読んでいただく必要がありません。あくまで、配当重視で、その資金で生活を豊かにするために活用したいと思っている方向けの説明本です。例えば、自分の自由にできる小遣いが欲しい、旅行に使いたい、趣味に使いたいなどという方が対象で、それ以外の目的の方もいるかもしれません。

 ここで紹介する手法の基本は、決算月の異なる企業の株式を入れ替えることによって今までよりも配当を多く受け取れるようにするという方法です。わかりやすく言えば、現在保有している株式の配当と他の株式の配当をダブルかそれ以上で取ってゆく方法です。極端にやれば年12回以上の入れ替えが可能で、そのたびごとに配当が入ることになります。もちろん、機械的に入れ替えると、最悪、保有株式資産がどんどん目減りしてゆくパターンになる可能性もあり、上手に入れ替えてゆく必要があります。少なくとも当初の株式資産価値を維持し、できればその価値の向上も狙える方法としてご案内したいと思います。以前はこんなことはできませんでした。その主な理由は、売買手数料が高かったからですが、今や手数料の自由化で各段に安くなり採算が合うようになりました。

 この方法の良いところは、イメージとして、投資元本を減らして配当をもらうということではなく、株式投資のトータルリターンの一部を配当金という形で上手に入れ替えしながら取ってゆき、当初保有している株式資産価値の相対的維持を基本としています。したがって、投資信託で元本を取り崩して配当をもらうという投資スタイルとは異なります。

 もちろん、株式を保有しているわけですから、入れ替える株式の価格変動リスクは当初の保有株式と同様に残るわけですが、今まで保有していた株式の資産価値を基準として、そこから目減りさせないように入れ替えてゆくということです。つまり、相対的に資産価値を減らさないということになります。相対的株式資産価値の維持については後で詳しく触れたいと思います。



目次


Ⅰ 初めに


Ⅱ 「損して売りたくない」の発想を変える~資産価値を上げることが重要


Ⅲ 配当金の常識:年2回?


Ⅳ 配当利回りとリターンの関係


Ⅴ 基本的な考え方


Ⅵ 投資指標の見方・考え方~盲目的に信じてはいけない

 1 主な投資指標と考え方

 2 PER:平時での活用、異常事態では通用しない

 3 PBR:異常事態でも有効


Ⅶ 入れ替え売買手法

 1配当利回りを重視

 2割安指標を参考にする

 3下落率で選択

 4総合的に見る


Ⅷ やってはいけないこと

 1一つの銘柄に絞らない

 2無理して入れ替えない~スプレッドを活用

 3割高な銘柄は避ける

 4高配当や割安銘柄に固執し過ぎない

 5下落率だけを見てはいけない

 6他のリスクも考える

 7タイミングや時期を選ぶ


Ⅸ リスク分散を重視しよう


Ⅹ 終わりに

著者について

金融・証券コンサルタント。


 日本証券アナリスト検定会員。慶大卒、計量経済学専攻、日系大手証券で主に法人営業、債券トレーディングなどに従事、退職後、米系大手証券で証券化商品を中心に法人営業、独立系証券や投資顧問会社にも在籍し金融法人ビジネスに携わる。


 2012年以降は証券アナリスト講座の経済学講師、その後、金融・証券の実務研修を大手日系証券や外資系証券の社員および官庁職員向けに行っている。


 研修内容は、「証券分析・経済新聞の見方・ディスカッション」、「米国の経済・金融市場と今後~日本市場への影響を探る」、「ホールセール新人研修 経済」、「経済時事分析講座(リテール営業に役立てる経済学)」、「プライベートバンク営業研修 富裕層のファンドビジネス」、「富裕層の海外投資事情及び外資系金融機関の実務」など。

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