宮沢賢治「双子の星」

· パンローリング
有声读物
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关于此有声读物

「天の川の西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。
あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる
小さな水精のお宮です」

そんな書き出しで始まるチュンセ童子とポウセ童子の心が優しくなる天上世界の物語。 『双子の星』第一部(26分54)
ある日、西の野原の泉で、大烏(おおがらす)と蠍(さそり)の
喧嘩に巻き込まれてしまうチュンセ童子とポウセ童子。
いじわるな自分を助けてくれる二人の童子の献身的な姿に心を打たれ、ついに蠍は……。

◎◎『双子の星』第二部(24分51)
海のくじらと言われる彗星(ほうきぼし)に、だまされ海へと落ちてしまう二人の童子。
果たして星の世界に戻ることができるのでしょうか…?

◎◎◎『手紙 四』特別収録/7分21)
兄のチュンセは、小さな妹のポーセにいつもいじわるばかりしています。
しかしある日、ポーセが病気になって死んでしまいます…。
賢治自身と妹トシの姿をチュンセとポウセに置き換え、
賢治の苦悩やショックが手紙に託されて描かれています。
時代を超えて心に響く、賢治の祈りのことばです。
今回、特別に本編『双子の星』に特典として同時収録させていただきました。 『双子の星』は、宮沢賢治が22歳の頃に創作した最初期の作品です。
(『注文の多い料理店』収録の物語は、賢治25歳頃に執筆されています)
こんなお話をつくってみたと言って家族に読み聞かせたという話が残っています。
ちょうど賢治が法華経にふれはじめた時期にあたり、双子のお星さまの行動に
その純粋なまでの気持ちが込められています。このチュンセとポウセは、
チュンセ=賢治、ポウセ=妹・トシとして読むことができます。

それは、のちに賢治の書いた『手紙 四』に出てきますが、
2歳年下の妹トシの臨終にショックを受けた賢治は旅に出ます。
(その旅から、代表作『銀河鉄道の夜』が生まれます)

旅の途中で友人宛に書いた『手紙 四』には、
「どなたか、ポーセがほんたうにどうなつたか、知つてゐるかたはありませんか。
チユンセがさつぱりごはんもたべないで毎日考へてばかりゐるのです」と
その心情を書き綴っています。この『手紙 四』には『永訣の朝』と重複する内容が登場します。
そのような別れがあることなどまだ知らない賢治が、家族に読み聞かせた初期の作品
『双子の星』…、それは賢治が妹トシを喜ばせたくて書いた物語ともいえるでしょう。

この作品中に出てくる「星めぐりの歌」は宮沢賢治が作詞作曲した歌として知られ、
『銀河鉄道の夜』でも子供達が口ずさむ歌として出てきます。
そして、この『双子の星』では「星めぐりの歌」に合わせて銀の笛を奏でるというのが、
チュンセ童子とポウセ童子の毎晩のつとめでした。
優しく色鮮やかな賢治の童話の世界をオーディオブックの中に詰め込みました。
そっと耳を傾け、夜空に輝く小さな双子の星に思いを馳せてみてください。

『星めぐりの歌』(作詞・作曲:宮沢賢治) 歌:なめきひとみ/ピアノ:梶山ななえ/ハープ:小田いずみ あかいめだまの さそり ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに 五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。 ★CASTチュンセ童子 …lapin ・ポウセ童子 …未波 ・朗読 …佐々木健

イラスト …エサシトモコ ●宮沢賢治(みやざわ・けんじ)
1896(明治29)年8月27日生〜1933(昭和8)年9月21日没。岩手県花巻生まれ。
ふるさと岩手を心象風景の理想郷“イーハトーブ”と呼ぶなど、独特な感性と
自然観で捉えた作品を多数遺す。農業指導・研究家として活動し、教職を務めた後、
「羅須地人会」を設立。農民生活向上のため粉骨砕身するが肺結核に倒れ、世を去った。
死後、彼の創作は高い評価を受け、国民的作家となる。天体や鉱石に深い造詣を持つなど、
その世界は現在でも研究され、多くの人に親しまれている。代表作『銀河鉄道の夜』
『風の又三郎』『注文の多い料理店』、詩集『春と修羅』など。

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