あらすじ
かには自分がもっているおにぎりと
さるがもっている柿のたねを交換しました。
かにがたねをうえると……
かにの子どもはみごとにかたきをうちました。
めでたしめでたし。
の、その後の話。
仇を取った蟹の子らは、その後警官に捕まり投獄。
主犯の蟹は死刑、臼や蜂らは無期徒刑。これは事実である。
猿蟹合戦は「因果応報」の話だが、復讐は善ではない。
蟹の家族はその後どうなったのか。
妻は貧困のためか、性状のためか、売笑婦に。
長男は株屋の番頭か何かになった。
次男は小説家になった。
三男は、蟹よりほかにはなれなかった。
そんな三男が横ばいに歩いていると、おにぎりが落ちていた。
すると高い木の梢に猿が一匹——
芥川は最後にこう言います。
「語を天下の読者に寄す。君たちもたいてい蟹なんですよ」
1892年(明治25)〜1927年(昭和2)。東京市京橋区生まれ。
大正時代を代表する小説家の一人。
東京帝大在学中に菊池寛、久米正雄らと共に同人誌『新思潮』刊行。
1915年(大正4)、代表作「羅生門」を発表。
様々な時代の歴史的文献を題材にとり、スタイルや文体を使い分け多くの
短編小説を執筆。「杜子春」「蜘蛛の糸」などの童話も有名。
1927年(昭和2)服毒自殺。享年35歳。